
アウルイアへの祈祷
「脱輪した人生でも、ぼくらは光に向かって歩みたいのだ」
最初は縋るつもりなどなかったのです。
排斥されるようなものになるつもりもなかったのです。
ただ、自分のような者でも救われたかっただけなのです。
突き詰めれば、努めれば、足掻けば、いつか純粋で綺麗なものになれると。
この両手いっぱいの灰、胸の内に揺れる硝子の供花。
それがいつか報われる日が来ると。そう信じてみたかった。
────そんな、薄暮の祈りより。
世界観
聖罰の星導界とも呼ばれるアルスノウァは、本来ならば罪なき者には決して辿り着く世界ではない。
しかし、罪なき者でも例外はある。それが罪楔の神子という、世界へ捧げる生贄なる存在。
その罪楔の神子に選ばれしただひとりの人間は、アルスノウァへと足を踏み入れそして罪ありき存在を見て何を思うのか。
罪とは、救済とは、贖罪とはなんなのか。知ることになるのだろう。
罪と罰と、そして救済への祈祷の物語である。
聖罰の星導界アルスノウァ
罪神と呼ばれる72柱の罪神が集う世界。
星の息吹が届くことのない世界で、生命達は足掻きながらも生きている。
罪を背負う生命達は願うだろう。“救われたい”と。
しかしこの世界では決して罪も許されることはなく、救われることもない。
用語集
罪神
アルスノウァに縛られている、楔の罪状を背負っている72柱。決して赦されることはない者達。
罪神の体には“罪人の証”が刻まれそれは消えることはないであろう。
性質としては邪神や魔神と呼ばれる存在に近い者であり、いくら聖なる神であろうとも罪を背負ってしまえば罪神となってしまうのだ。
罪神は、罪たる生命達を支配する存在でもあり、最も重い罪を背負っている者達とも言えよう。
罪楔の神子
罪たる生命達の世界へ捧げられた生贄。浄化する者であり、罰する者。
アルスノウァを浄化する役割を果たすまでは決してアルスノウァからは逃れられない。
楔の罪状
72柱の罪神が抱えている、永久の罪。決して解放されることはない呪縛であり、鎖である。
ただ、己の信じる信念を貫いただけにすぎなくとも、それは世界にとって罪深き行為なのだ。
- 06の罪状 -略奪-
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天賊なる賢愚ウァレフォルが抱える楔の罪状。
生命たるものが生きる理不尽なき世界を築き上げようと理不尽を奪おうとし、人々のすべてを奪った汝は罪あり者である。
永遠に略奪する以外を知ることはなく、人々にとって理不尽で支配する暴君に成りえることになると此処に言い渡そう。
- 15の罪状 -狂信-
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罪たる狂騎士エリゴスが抱える楔の罪状。
正義のために狂気の道に入り、護るべき人々を恐怖に陥れた汝は罪ありき者である。
永遠に狂気を拒めることもなく、己の信じたかったものはなんだったのかもすらもわからなくなることを此処に言い渡そう。
- 29の罪状 -執着-
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黎黒の魔術師アスタロトが抱える楔の罪状。
既に終えた命を弄ぼうとし、人々を殺戮の道に歩めた汝は罪ありき者である。
永遠に幸福というものを得ることはなく、己が幸福を信じて創りあげたものが不幸にもたらすことになると此処に言い渡そう。
- 30の罪状 -博愛-
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幻蒼海の父神フォルネウスが抱える楔の罪状。
最も愛を与えたかった者達が苦しみや悲しみに陥り、その者達が人々を苦しめることとなった汝は罪あり者である。
永遠に愛したかった者達に想いは届くことはなく、その者達は誰からも愛されることはないだろうと此処に言い渡そう。
- 32の罪状 -憤怒-
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獄焔の狂戦士アスモデウスが抱える楔の罪状。
世界の理不尽に怒り狂い、理不尽に抗おうと時に危害すらも加えた汝は罪ありき者である。
永遠に怒りは覚めることはなく、やがて怒りで愛する者はおろか己の命すらも滅ぼすことになると此処に言い渡そう。
- 49の罪状 -虚偽-
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清水の獣竜クロセルが抱える楔の罪状。
生命が願う偶像を演じ、何も知らない純粋な人々に真実を欺いた汝は罪あり者である。
永遠に己を欺くことになり、本当の自分というものが人々に愛されることはないだろうと此処に言い渡そう。
- 59の罪状 -忘却-
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勿忘の罪騎士オリアスが抱える楔の罪状。
与えられた神託を果たそうと己すらも捨て、人々を護るべき理由も忘却した汝は罪あり者である。
永遠に記憶は思い起こされることはなく、己の愚かさや空白の虚しさに苦しむことになると此処に言い渡そう。
- 69の罪状 -貪欲-
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絢爛する占星術師デカラビアが抱える楔の罪状。
生命たるものの幸福を願い、人々に幸福であることへの欲を説いた汝は罪あり者である。
永遠に己が抱いた幸福への欲深さは許されることはなく、やがて万物に対して欲がなくなることを此処に言い渡そう。