
海罰なる祈りにて
「星の光に照らされたあの日の君を、どうか忘れませんように」
幾星霜の時を超えて煌く。
星々を巡るその身は世界を覚えている。
宙にはまばゆい星がある。
それならこの暗い海には一体何があるのだろう。
手を伸ばしても届かないその祝福に、罪人たちはずっと夢見ていた。
罪を背負った者にとって、帰る場所とはどこなのだろう。
一瞬の輝きを焼き付けて、どこまでも。
世界観
その星の祝福を受けし栄光なる世界は、蒼星祈聖界クロムウェルと呼ばれている。
しかしクロムウェルはかつては古き名があったことは今は語られることはない。
それに“死と厄災の象徴”である幻獣種と呼ばれる者達が関わっていることも、誰も知らない。
罪人とも呼ばれる者達は叫ぶ。「ただ生きていたい」と。
その悲壮な願いは果たして届くことはあるのだろうか。
罪と赦し、そして約束。星の息吹たる祝福の物語が、幕を開けようとしている。
──誰も知らない、けれども確かにあった物語。
蒼星祈聖界クロムウェル
星と祈りと生命の煌きによって成り立っているとされている、星の祝福を受けし栄光なる世界。
人間の他にも精霊と呼ばれる者達や妖精と呼ばれる者達も存在しており、多くは人間と共存している。
しかし幻獣種と呼ばれる者達は未だ人間はおろか精霊や妖精さえも忌み嫌われたままである。
またこの世界では“白は星の色”であり“青は海の色”であるとされているため、白は神聖なものであり、青は不吉を呼ぶ色。
エルディラ帝国
海から遥か遠くにある、とされる。元々は勢力は弱かったのだが最近になって急激に勢力を強めている国でもある。
周辺にある砂漠や鉱山採れる生物の皮や鉱石から、アクセサリーや服の生産地としてもっとも有名。
アスルアス聖国とも好くなからず交流はあり、アスルアス聖国で流行している多くの衣類はエルディラ帝国が生産したもの。
エルディラ帝国内にせせらぐ清水は「恵みの水」とも呼ばれている。恵み水で作られた噴水広場も存在する。
スティアシラ幻精霊国
精霊や妖精と呼ばれる存在達が住まう幻想郷とも言われる場所。
スティアシラ幻精霊国へと繋がる場所はごく普通の森であり、またその場所さえ知っていれば住まう者達は来客を拒まないだろう。
アスルアス聖国の次に星に祝福されているとされており、スティアシラ幻精霊国でしか見られない花等も存在する。
アスルアス聖国
星祈王が統治する最も星に祝福されているとする国。国内に所々存在している結晶は魔導鉱石と呼ばれ、触れるとワープ移動ができるもの。
星や海をモチーフにしたスイーツが人気であり、お土産としても愛されているものである。
スティアシラ幻精霊国と交流が多く、アスルアス聖国に住まう精霊や妖精も少なからずはいる。
用語集
祝福の精霊
別名、祝福の使徒と呼ばれている存在であり、歌を歌えば草木は芽吹き星は瞬き水は清く澄んだものになるとされている。
祝福の精霊を率いれているアルメルスや、歌花の精霊姫と呼ばれているシエラステラなど、神や多くの人間に愛されている存在である。
伴侶となる者にはたった一度だけの聖なる歌を捧げ、永遠とも呼ばれる祝福を与える。
また、祝福の精霊は罪たる者に粛清を与える役割もあり、神からの寄せられる信頼も大きい。
イルジオス殲滅計画
数百年前、多くの幻獣種が命を落とすことになったアスルアス聖国を始めとした人間が住まう国達が企てたもの。
人間は幾多の名だたる魔術師を雇い、そして魔法を前にした幻獣種は成すすべもなくただ奪われるだけであった。
先代の幻獣種の王であったオルキスティオキアさえも命を落とし、そしてこのイルジオス殲滅計画をきっかけに同盟を組んだ国達もいる。
幻獣種にとっては残酷極まりない事件であり、人間にとっては栄光輝く偉業、である。
幻蒼十海柱
幻獣種の中でも、特に優秀であるとされている、オルティレイスを筆頭にした幻蒼十海柱と呼ばれる者達。幻蒼十海柱は、番号が振り分けられおり、幻獣種達の王となっているぐらいに優秀なオルティレイスはⅠに割り当てられる。
そしてⅡ以降が、オルティレイスが判断して割り当てられている。
が、オルティレイスの思う優秀と、他の幻獣種達が思う優秀の認識は違うので、この配置で疑問に思う幻獣種は少なからずいる。
Ⅰ.オルティレイス Ⅱ.ネヴァーレン Ⅲ.ノエルメイア Ⅳ.セラスティア Ⅴ.ルカレオス Ⅵ.クヴァメル Ⅶ.メレアティカ Ⅷ.ミアラシア Ⅸ.レイアルキス Ⅹ.フィアセス
身内に甘いとされるオルティレイスが、珍しく贔屓しないで真っ当に評価したのが、今定められている幻蒼十海柱の面子である。
幻蒼十海柱は、幻蒼海域エルキュメリアンに来た人間の対応やエルキュメリアンの番人など、結構重大な役割も任せられる。
大賢者の予言
今の彼らには失ってしまったとされる、必ず起こるであろう未来を予言するかつてのクラーケンの能力。
この大賢者の予言を聞いた者は、不思議とその運命を容易に受け入れてしまうとも言われている。
数百年前の、幼かったネヴァーレンがこの大賢者の予言によって幻獣種が大虐殺される───イルジオス殲滅計画を予言したがそれは幻獣種全員に知らされることはなかった。